講演会「台湾の英語教育の現状」を開催
2023.10.122023年9月28日(木)13時10時から、9号館9102講義室を会場にして、「台湾の英語教育の現状」をテーマにした講演会が開かれました。講師には、国立鳳山高等学校 英語教師の羅 俊宏(Luo,Jyun-Hung)先生を台湾から本学に招聘し、「Taiwan’s English Instruction:Fom Policy to Practiceto」と題して講演をいただきました。会場の9号館9102講義室は、多くの学生が集まり、熱心に聴講しました。
最初に学生に向けて、Please write down one trait that makes you a good English teacher. との呼びかけがあり、聴講の学生は二次元コードからアクセスし、自分の考えを記入することから講演に参加しました。
羅先生からの最初の話題は、「バイリンガルプログラム2030」
台湾は2030年までに英語と中国語のバイリンガル国家になる政策を採択し、2020年6月には蔡英文総統が実行の旨を発表しました。特に幼稚園から高校生、公務員に焦点をあてています。 台湾では「バイリンガルプログラム2030」が国家計画として実行されています。内容としては、○若い人の英語コミュニケーション能力を高めること ○台湾の労働力を世界に結びつけること ○世界的な企業を台湾に引きつけること をあげています。
台湾の最近の高校のプログラム
現在の高校向けプログラムは、○バイリンガル(二カ国語の言語使用ができる人)体験プログラム ○外国人教師プログラム ○小学校や中学校の部分的バイリンガルプロジェクト ○英語による英語教育プログラム の4点が挙げられます。
学ぶ活動(教え方)の分類サンプルとしては、ひとつの方法(One-way)と多様な方法(Two-way/Multiple-Way)、計画されたプログラム(Planned)と即興的なプログラム(Spontaneous)が考えられます。具体的にはプレゼンテーションや、ドラマ、フィードバック、グループディカッションなどがあります。身につく力としては、「準備したことができる」「その場でいきなりできる」こと、言い換えれば、準備されなくてもその場で、すぐにできる英語力を養成していく方向が示されています。
In the changes we dislike may lie the things we like.
羅先生は講演中も学生により添い、声をかけながら話を進められました。普段の授業の雰囲気が伝わるような、先生の人柄が表れたあっという間の90分でした。「私たちがあまり好まない変化の中に、私たちが好きなものがあるかもしれません。」 先生の講演の締めくくりにはこの言葉が示されました。聴講した学生はそれぞれに学びをまとめました。
聴講した学生は次のような感想を寄せてくれました。
台湾教育の実情についての講演に参加し、海外の先進的な英語教育への理解を深めることができました。私にとって最も印象的だったのは英語の授業のみならず他教科においても英語で行い、さらには生徒が英語でプレゼンテーションを行っていたということです。わが国でも、授業以外では第二言語(英語)にふれる機会が少ないため、授業内でもどうしても母語(日本語)に頼ってしまいがちなため、自らの考えを素直に英語で表現できず、また躊躇いが生じてしまいます。学校教育において第二言語学習者(英語学習者)がすべきことは限られた学校生活の中で少しでも多く第二言語(英語)にふれ、授業外でも授業内でも実際に使って、慣れることだと深く感じる機会となりました。(英語専修4年 伊藤 稜馬)
今回の講演会では、台湾で行われている体験重視の先進的な英語教育について学ばせていただきました。台湾が英語教育に力を入れていることは知っていましたが、PBL(プロジェクト型学習)を導入した授業で中学生が積極的に英語を使い、プレゼン発表をしている姿や、“英語の授業以外でも英語に触れることができるように”と他教科の授業においても英語を使うことを心がけている学校全体での取り組みに感銘を受けました。英語能力の育成を英語科だけに留まらせるのではなく、学校全体の課題として考えることは今まさに私たちがしなければいけないことだと思います。自分がこれからの英語教育を担う存在として何ができるか、それを追求し続けていきたいです。(英語専修3年 ステッフ ビアンカ楓)
羅俊宏先生から学び得たこととして、日本よりも英語を学ぶ機会が少ないにも関わらず、英語にふれる機会が多いということを知ったことがあげられます。台湾の生徒が英語を使う場面を動画で見せていただいた時に、彼らからは臆することなく自然に話し始める様子が見られました。そのため、学ぶ機会は少なくとも、実際に英語を使う場面を増やすことで英語の力を実践的に身につけることができると考えました。そして、英語の力を伸ばすには子どもたちのやる気次第ですが、英語を教える教師になるならば、私たちができることはたくさんあるということも講演の中から多く気づきました。彼らが英語の力を身につけられるように、積極的にサポートしたいと思います。(英語専修2年 尾白 麗奈)