第3回聖徳学園杯学童野球大会-絶対に怒ってはいけない-開催

2024.1.12

指導者が怒るのは禁止。「第3回聖徳学園杯学童大会-絶対に怒ってはいけない-」が岐阜県内外から20チームの応募があり、抽選で8チームが選ばれ、トーナメント形式で大会が進められました。監督やコーチが試合中の選手を怒るのを禁止し、野球本来の楽しさを子どもたちに知ってもらうことをねらいとした学童野球大会。この大会も三回目となりました。

~絶対に怒ってはいけない学童野球大会~ 第3回聖徳学園杯学童野球大会 (通称:聖徳カップ)は2021年に始まり、今年で三回目となります。「怒ってはいけない」を裏がえせば「褒める」ということ。褒めることがルールに盛り込まれたことで、監督はもちろん選手からもよいプレーへの感性や拍手が響き、選手の笑顔がグランドにはあふれていました。


この学童野球大会には次のような規定があります 

【大会規則】規則としては次のような内容が示されています。 1.参加資格 〇小学6年生以下で構成する軟式野球チームであれば、連盟所属または非所属に関係な くご参加いただけます。 ※スポーツ安全保険に加入していることが参加条件 〇大会規則にのっとり、マナーを遵守したフェアプレーができることとします。 2.グラウンドマナー 〇監督・コーチは選手を絶対に怒ってはいけません。どんどん褒めてください。怒ったと判断した場合は本部役員より注意させていただきます。 〇相手チームの選手が良いプレーをした時も称賛の拍手や声援を送りましょう。 〇相手チームの選手、審判員へのヤジを禁止とします。 〇監督・コーチは椅子に座り足を組み指示を出すことを禁止とします。(着席は可) ・役員、審判員の指示に従う事。従わないチームは失格とします。 〇会場施設を破損した場合、修繕にかかる費用は当事者の負担とします。 〇その他大会規約に違反した行為が発覚した場合は、審判員及び事務局の判断で失格とする場合もあります。

この趣旨に賛同し6年生以下の選手で構成される学童野球のチーム。参加希望が年々増え、今年は20チームの応募がありました。「褒めることで伸びる」ということを指導者自身が実感していることの表れだと思います。指導ですので、教えること、指摘することなど繰り返し声かけをすることはあるでしょう。しかし、「怒る」という感情をぶつけることと、穏やかな心で教え諭す「叱る」こととは全く別のものです。ここをあえて、「怒る」に焦点をあて、プラス思考の目を養うことに主眼をおいて、指導者も選手も皆で「野球の楽しさ」を感じて試合を進めていました。

大会運営委員長の岐阜聖徳学園大学野球部、近藤 真市監督は「野球は楽しくやらないと成長できない。楽しいと感じて帰って欲しい。」と話していました。


入場行進は、とても元気のいい声を出すチームが多く、選手たちの楽しそうな様子が印象的でした。開会宣言に続き、学校法人聖徳学園杉山理事長のあいさつのあとは選手宣誓。 鶉野球チームのキャプテンが堂々と宣誓を行いました。6年生が主体のチームですのでこういった機会も小学校卒業までの期間では限られてきます。思い出深い時間を提供し、また地域の野球仲間、保護者の皆様、そして本学野球部員が共有できたことが主催者としてな何よりの喜びです。

この大会の模様は「ほめる」という視点で民放テレビでも取りあげれました。もちろん視点はコンセプトにあるように、「絶対に怒ってはいけない」大会。ジャッジもついて、もしそういう声が聞こえたらイエローカードが出ます。本学野球部学生が、「怒っていないかどうか」「プラスの声かけになっているか」などの判定も担当しました。

ジャッジマンの江﨑 將馬さんに伺います。当日の試合の様子を見てどのようなことを考えましたか


今回ジャッジマンをさせていただいて、もう一度野球というものを見直すきっかけになりました。小学生の子どもたちはどの子も一生懸命応援したり、仲間と一緒になってみんなで喜んだりとすごくいい笑顔が見られました。そこに勝利がついてきているような気がしました。自分は高校から大学まで全国大会をねらうために、厳しく負けないことだけを考えてやってきていました。今回の学童野球大会でお互いを褒め合う、チームで喜び合うことが勝利への一歩につながるのだと気づきました。あと一年の大学野球生活。自分も子どもたちの姿を思い浮かべながら、チームの仲間と喜ぶために、まずは野球を楽しんで全国大会へ行きたいと思います。(岐阜聖徳学園大学3年 硬式野球部 江﨑 將馬さん)

硬式野球主将の高井 光太郎さんはこの大会について次のように話してくれました

この大会の趣旨をどのように考えていますか

子どもたちの野球離れが随分目立つようになってきました。子どもたちが野球を続けることは保護者の負担も大きいことが原因だと思います。しかし野球を通して子どもたちの成長にプラスになることは確実であると言えます。子どもたちが「楽しい」という体験の積み重ねをし、自信へとつなき野球は楽しいと感じて頂ければと「怒ってはいけない野球大会」を計画しました。

今回で三回目まで大会となりました 1年生の時からの参加になりますね

今年で3回目の開催となった今大会は8チームが参加しました。過去の大会では監督やコーチから子どもたちに叱責の声が出て、イエローカードが出される場面も見受けられましたが今年はそのような場面はありませんでした。大会の趣旨が「怒らない」と掲げられていることで、参加者の意識もそちらに向いていたと思います。怒らないということが、ベンチからの指示の声や声援がプラス思考の前向きな声がけに自然となっていたように感じます。子どもたちも自分のプレーや仲間、相手チームの選手のプレーに関心をもち、のびのびと野球を楽しんでいる姿が印象的でした。

この大会を通じて学んだことはどんなことですか

「怒らない指導」ということはその人を認め、リスペクトすることであることだと学びました。そして何よりも子どもが主役という環境が、子どもたちの成長につながるとつくづく感じました。また、大会運営も大学生や高校生、ウインドアンサンブルなど多くの学生が地域の子どもたちに関われたことは大きな意味があったと思います。地域とのつながりは、今回の野球大会だけでなくこれからも大事にしていきたいことです。何よりも地域から応援される岐阜聖徳学園大学硬式野球部・チーム聖徳でありたいと実感する大会でした。 (岐阜聖徳学園大学3年 硬式野球部主将 高井 光太郎さん)

事務局として当日までの準備の苦労もあったと思います

今回で第3回目の開催ですが年々反響が大きく応募も多数頂いています。少年少女にとって思い出に残る大会、そして、好きで始めた野球の楽しさを忘れず生涯野球を好きでいられるきっかけになればという思いです。また、本学の学生たちにとっても地域貢献の大切さや野球はこんなに楽しいんだと初心に戻るきっかけとなっていきます。来年度以降も少年少女のために開催していきたいと思います。(岐阜聖徳学園大学硬式野球部 コーチ近藤 真二さん)

公益財団法人全日本硬式野球連盟への学童チームの登録は9,842チーム(2022年度)。2000年度には1万229チームが登録していたことから比べると、かなりの減少。岐阜県は259チームがが234チームと、やはり全国的な流れと同じ動きをしています。少子化に伴い、チームを存続させることも難しい現状の中で、野球の魅力をいかに子どもたちに実感してもらうか。そんな中で始まったこの大会。大人から怒られないために神経をつかい野球をしていては、楽しいはずがありません。生涯スポーツが大切にされる今日、少年野球を入り口として、存分に野球の魅力にふれ、生涯野球を楽しんでくれる子どもたちを増やしていって欲しいとこの大会を観ながら感じました。

野球を通じての地域と関わりから、学生自身も大きな学びを得た「第3回聖徳学園杯学童大会-絶対に怒ってはいけない」が野球少年少女の憧れになり、発展しながら継続することを期待したいです。

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