TEACHER Interview 07 伊佐地 恒久さん

2021.3.17

主体的、積極的に学びに

向き合う姿勢こそが大切だと思います。


外国語学部教授・学部長

伊佐地 恒久さん

[いさじ・つねひさ]

岐阜県多治見市出身。南山大学文学部教育学科を卒業後、1981年より岐阜県立斐太農林高校(現・飛騨高山高校)をはじめ、岐阜県内公立高校5校で英語教諭として教壇に立つ。2010年4月より本学に赴任。2018年4月、外国語学部学部長に就任。

社会の役に立つ仕事がしたいと

教員になることを決意
 

ーまず、先生になられた理由を教えていただけますか。

私は小中高校と先生に恵まれ、特に通っていた高校は「自主・自律・自学」を校訓とした、自分で考えて行動する自主性を大切にする学校でした。そこで、将来について考えたときに、社会の役に立つ仕事、人間を育てることに関われる仕事をしたいと思い、教員になろうと決めたんです。

―英語教諭になられたのは、何かきっかけがあったのでしょうか。

もともと英語は好きでしたが、南山大学文学部教育学科に進学してからイギリスのBBCラジオなどを聞くようになり、英語に身近に触れるようになったことが大きなきっかけでしょうか。英語を読むのではなく聞くことで、発音のインパクトや、コミュニケーションの手段である言葉として使われている英語に興味を持ち、面白いと思うようになりました。

―実際に教員になられてみていかがでしたか。

最初に赴任した高山市にある斐太農林高校は、アルファベットが読めない生徒もいましたし、生活面が落ち着いていない子も多く、いろいろと大変でした。しかし、先輩の先生がとても素晴らしい方で、たとえば生徒が何か悪いことをしても、彼の成長のためには何が大事かを考え、その生徒の良いところを探してとことん向き合っていました。

―本当に素晴らしい方ですね。

生徒が悪いことをしたからといって切り捨てるのではなく、理解しようとするその方の姿勢は、私に教育とはこうあるべきだと示し、大きな影響を与えてくれるものでした。


―その後はどのような経緯で本学に赴任されることになったのでしょう。

斐太農林高校で4年勤めるなどした後、転任した土岐紅陵高校では学年主任を務め、創設されたばかりの総合学科という新しい学科を作っていく面白さを体験することができました。しかし、英語教育や教材について、実践の積み重ねだけでは限界があり、理論もきちんと学びたいと思うようになりました。

―なるほど。

そこで、筑波大学大学院で2年間、おもに英語教育における英語リーディングの指導をテーマに研究し、再び現場に戻って、多治見高校で4年間教壇に立ちました。

―教員をしながら、研究を続けられたのは大変ではありませんでしたか。

まずは、教員の仕事をしっかりやることを第一に考え、生徒指導部長も3年勤めていました。そして、残りの時間を研究にあてました。どちらも好きなことでしたから、大変ではありましたが、辛いとは思いませんでしたね。ただ、英語教育の研究の面白さに惹かれ、次第に自分が教えるのではなく、教員を養成する仕事に興味を持つようになり、大学教員の仕事も視野に入れるようになって、縁があった本学へと赴任しました。


もっと主体的、積極的に

学びに関わってほしい


―本学ではどのような研究をされているのでしょうか。

英語には、「聞く・読む・書く・話す」がありますが、おもに「読む」の部分の読解ストラテジー(方略)や多読、クリティカルリーディング、効果的な発問などについて研究しています。

―具体的にはどういった内容でしょう?

英語の長文を読むときに、1文1文を日本語に訳して理解する「訳読式」は構文理解を深められる点はメリットがありますが、読解に時間がかかるなどの問題点もあります。英語を日本語に置き換えるのではなく、英語をそのまま英語として理解させることが大切です。


―確かにそうですね。

そこで重要になるのが、発問の仕方です。

―発問、ですか?

先生が生徒に質問して答えを引き出す際に、どのような質問をするかということです。発問には2通りあります。1つめの「事実発問」は、たとえば誰がどこに行ったかなど、文中に答えが書いてある質問です。2つめは「推論発問」で、この人はどんな気持ちだったのかなど、文章の中に直接的な答えが書かれていない質問です。

―2つの発問はどう違うのでしょうか。

「事実発問」は英文の概要や事実関係を理解するのに有効です。そして、英語を深く理解するために大切なのが、「推論発問」です。私の授業では、学生に両方の発問の観点から「英文を2回読む」やり方を指導しています。


―大変興味深いお話です。ちなみに本学の学生にはどんな印象がありますか。

素直で真面目な学生が多いと思いますね。ただ、控えめで受け身な印象もありますので、もっと主体的、積極的に学びに関わってほしいと思います。英語の学びについても、異文化コミュニケーションに関わることができる子がよく伸びますし、将来の進路についても開拓することができます。大切なのは、積極的に学ぶ姿勢だと思います。


今この時代だからこそできる

学びの場を学生に提供する


―2020年度は新型コロナの影響でオンライン授業も増えましたが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

確かに前期はほとんどがオンライン授業となりましたが、後期には対面式の授業も少しずつ開かれるようになってきました。学びにはオンラインでできることと、対面でコミュニケーションを取らなくてはできないことの両方があると思います。本学では、オンラインとオフラインを両立した学びを提供することができていると思います。


―オンラインとオフラインをうまく使い分けていくことが重要ですね。

外国語学部ではこれまで留学を推進してきましたが、この状況下で、海外へ行かなくても外国語を深く学べるようにカリキュラムを充実させています。ネイティブ教員による少人数の英語コミュニケーション授業や、専門科目のAll English授業を行ったり、海外の学生とオンラインで会話してお互いの母国語の英語と日本語を教え合う「テレタンデム」というシステムを導入したり、日本語の使用を禁止した交流ラウンジの「Lounge MELT」を活用してもらったりして、学生が日本にいても外国語に触れる機会を多く設けています。

コロナ禍という状況を逆手にとって、今だからこそ実施できる有意義な研修を企画して進めています。ぜひとも、学生のみなさんには積極的に参加して、学びを深めてもらいたいと思います。


[言語技術の研究] 


現在は、つくば言語技術教育研究所の三森ゆりか氏などが提唱する「言語技術」について、研究と実践に取り組んでいます。言語技術とは、思考を論理的に組み立て、相手が理解できるように言葉で分かりやすく伝えることで、今後の国際コミュニケーションにおいて、言語技術は必須だと思います。


ー岐阜への想いー

岐阜県多治見市で生まれ育ちましたので、岐阜には“ふるさと”への愛着があります。岐阜は自然が豊かで、素朴で親しみやすい人が多いと思います。
地元の岐阜を離れ、都会に出ていった友人が帰郷して再会するときに必ず「岐阜に帰ってくるとほっとする」と言いますが、それこそがふるさとの良さなのだと思います。私はずっとここで地元の発展に寄与できればと思っています。

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