TEACHER Interview 02 古川 智恵さん
2020.1.10国内外での実践を活かした研究で、
国際看護に関する学びを届ける
看護学部准教授
古川 智恵 さん
[ふるかわ・ちえ]
大阪府出身。看護師を経て、2019年4月より本学に赴任。専門とする研究分野は発展途上国でのストーマケア。自ら発展途上国に出向き、日本の医療ケアを伝えている。
看護師20年の実践を経て、研究者の道へ
ー本学で先生になられるまでの経緯を教えていただけますか。
私は看護学校を卒業後、大阪のがんセンターなどで約20年間看護師として働いていました。
ーどういった分野の看護師をされていたのでしょうか。
大腸癌の患者さんの人工肛門のケアに関わらせていただいたのですが、当時の日本では決まったケアの方法もなかったので、研究が進んでいたアメリカに勉強しに行っていたんです。
ーそれはすごいですね。
そこで学んだことをがんセンターに戻って実践するなかで、もう一度大学院で勉強し直したいと思い、修士課程に進みました。
ー専門的に学び直したわけですね。
その後、修士課程を卒業するときに、恩師から「一看護師だと関わった患者さんにしかケアできないため、自分の実践を多くの人に知ってもらうためには論文を書くことが大事だ」というアドバイスを受け、研究者の道を選びました。
ーなるほど。
実は高校時代に看護に出会うまでは教員を目指していたので、大学教員というかたちで教育と看護が結びついたんです。
発展途上国に出向き、日本の医療を伝える
ー現在はどのような研究をされているのでしょうか。
現在、力を入れている研究は国際看護です。
ー具体的にはどういったことをされていますか。
この20年間で日本も人工肛門についてたくさん研究されるようになってきたので、今は日本の医療を発展途上国に伝えています。
ー実際に海外へ行かれているんですか。
まだ医療制度が整っていないラオスに実際に行って、現地の看護師さんにケアについて英語で教えています。
ーそれは素晴らしいですね。
現地での学びは大学に戻ってきて、学生にも写真や言葉を通して見てもらっています。今すぐには想像がつかないかもしれませんが、将来選択肢の一つとして国際医療に興味を持っていただければ嬉しいです。
ー学生に望むことはありますか。
国際看護には英語力も必要なので、学生には英語の勉強にも力を入れてほしいですね。
地域の方々と一緒に健康を考える場に
ー地域の方との連携についてはどのようにお考えですか。
地域の方々には、健康を考えるうえで、ぜひ私たち大学教員の知識を使っていただきたいと思っています。
ー先生方の知識を活用していただきたいということですね。
これまでは病院が患者さんの相談を聞く役割を担ってきましたが、病院は治療の役割だけで忙しくなってきているのが現状です。これからは普段困っている健康に関する悩みを大学にも相談してみてほしいですね。
ーこれまでもそういった取り組みはされていらっしゃったんですか。
前任校では高齢者向けの簡単な健康診断や、お年寄りの人生について話を聞いて本にまとめる「聞き書き」など、地域での活動も積極的に行なっていました。
ーそれは有意義な活動ですね。
学生も日常的に患者さんや高齢者の方々と関わる機会がほとんどないので、そうした活動を行うことで、地域と学生の両者がいい関係になれると思います。
ー学生たちに伝えたいことはありますか。
若いうちは健康が当たり前で、私の授業がすぐ役立つことはないかもしれません。しかし、これから学生が一人の大人として生きる上で、「自分自身の健康を大切にして欲しい」というのが一番伝えたいことです。
[ラオスでの講座]
ラオスは年に2回ほど訪れて、現地の看護師にケアのレクチャーをしています。日本の医療は進んでいますが、言葉の壁が大きいのが現状です。発展途上国は医療以外の面も成長が著しいので、訪れるたびに変化があって驚かされます。日本も置いていかれないように頑張りたいです。
ー岐阜への想いー
岐阜に来てからはまだ間もないですが、のどかで考えごとが捗るので研究には向いていると感じています。三重の四日市で勤務していたこともあり、岐阜に来ることに全く抵抗は感じませんでした。
前任校での地域活動の経験を活かし、本学でも大学という場を活用して地域の方々ともぜひ関わっていきたいです。